「DTM雑知識」カテゴリーアーカイブ

DTMを行う上で、知っていると役に立つ場合もある知識集

DTM教室というもの

DTM教室でDTMを学ぶというのは、DAWソフトの使い方を教わるということではありません。
無論、そういった部分が多少あるのは確かですが、比重としては重くありません。
何故なら、ソフトの習得のためにかかる時間よりも、その先に待っている、DAWソフト等を使って音楽を作る技術を学ぶ時間の方がはるかに長い為です。
DAWソフトの使い方なら独学でも大体どうにかなりますが、音楽を作る技術を学ぶのは独学では少し困難かもしれません。
何故なら、自分自身の実力を自分自身で正確に知ることは困難であり、大抵の場合は誰かに作品を聴いて貰って判断して貰うしか無い為です。
自分で作った作品というのはどうしても、慣れと言いますか、悪く聴こえない物なのです。
無論、他の作品と聴き比べると劣って聴こえるというのはわかると思います。
しかしどこが悪いのかが判らない。
そういう時の為に、DTM教室という物はあるのです。
古今東西に数多あるDTM教室の講師というのは、DAWソフトの操作に習熟しているのは勿論ですがそれ以上に、DAWソフトを使って効果的に曲を作る技術に長けています。
これはほぼどんなDTM教室でもそうです。
DTM教室というのはやはり音楽教室ですので、そこにいる講師は音楽の先生なのです。
だから、DTMシステムを使用して音楽を作ってみたい、しかしソフトの使用方法は大体わかってきたけれど音楽を作るという段階まで行けない、という方は是非ともDTM教室の門を叩いてみてください。
きっと貴方が作りたいと思う曲を作る為に必要な知識を教えてくれることでしょう。

DTMには、MIDIキーボードの併用をお勧めします

作曲をする際には楽器が弾けた方が良いと書いてきましたが、DTMと併用するならそれ程高いレベルの演奏技術は必要無かったりします。
DTM、というか一般的なDAW/MIDIシーケンサーにはクォンタイズという機能が備わっており、多少タイミングがずれようがどうしようが後でいくらでも修正出来るのです。
また間違った鍵盤を弾いたり、余計な鍵盤を弾いたり、或いは弾くべき鍵盤を弾かなかったりしてもやはり後で修正出来ます。
そして一般的なDAW/MIDIシーケンサーはこういった編集が大の得意であり、大抵の場合修正は一瞬で終わります。
これは、DTMを併用しないで楽器演奏を行った場合には得られない特徴であり、DTMの大きなメリットだと言えます。
実のところ、DTMで作曲を行う際に習得していたいレベルの楽器演奏技術は、今まで鍵盤楽器を全く触ったことが無い人間が一ヶ月程度練習した程度で習得出来るようなレベルだったりします。
これはもう、ほぼ誰にでも習得可能と言って良いレベルだと思います。
例えば、本来非常に速いテンポで弾きたいフレーズが浮かんだ場合でも、とりあえずそれをテンポを遅くして演奏し、DAW/MIDIシーケンサーに取り込んだ後でいくらでもテンポを速く出来ます。
実際に速いレベルで演奏するのは非常に高い演奏技術が必要なのですが、そんな高い演奏技術が無くてもその演奏を再現出来てしまうのです。
勿論、ライブ等で観客の前で実際に演奏する場合にはそういったテクニックは使用出来ないのですが、とりあえず作曲する際に必要な楽器演奏という意味で言えば、一ヶ月程度の練習で一流のプレイヤーと同程度の効率を得ることが出来ます。
そして、今のDTMのシステムは大体、そういった風に入力する事が前提として作られている場合が多く、最初から最後まで全部打ち込みで済ませるという考え方のMIDIシーケンサーはあまり多くありません。
(多くないだけで、存在しない訳では無いので、そういった方法の為に便利なMIDIシーケンサーも実際あるのですが、商用のシステムではほぼ無いと言って良いですし、一般的なDAWは通常そういった入力方法を推奨していません)
ですので、DTMをする際はやはり、簡易なMIDIキーボードを揃えておくことをお勧めします。

DTMするのに音楽理論は要る?

DTMをするなら音楽理論は覚えた方が良いと考えています。
というのも、DTMというのは楽器演奏と違い、どちらかと言えば作曲方面の活動ということになる為曲を作る力を伸ばす必要がある為です。
無論、中には「自分はギターをやってるんだけど、他のパートと一緒に演奏する練習がしたいから、他のパートをDTMで打ち込む」という方もいらっしゃるかと思います。
しかしそういう方の場合でも、このフレーズの場合はこういうベース、こういうリズムになるよね、等打ち込み時に考える必要が結局出てくるので、やはり作曲する力が欲しくなる筈です。
音楽理論の勉強というと、理論を勉強しただけで曲が作れるようになると勘違いする方も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際のところは、音楽理論を勉強する過程において沢山の曲、フレーズ、パターン、リズムを聴き、また自分で作ることによって得る力の方が大きいと言えます。
無論、実際理論を勉強するだけである程度それっぽい曲を作ることは出来るようになります(自動作曲ソフトなんかはまさにその究極の形ですよね)。
しかし、理論を勉強しただけで出来る曲は結局自動作曲の域を出ない為、どこかで聴いたことのある感じになちがちです。
自分で勉強し、勉強したことによって得た力と、そして自分の感じ方とがミックスされることによって初めて、自分のオリジナルの曲が作れるようになるのです。

作曲の勉強というのは結局のところ、自分の引き出しを沢山持つようにする事に他なりません。
この勉強は、昔はやはり楽器が弾けなければ難しい物でした。
何しろ自分が書いている音を実際に演奏してみたらどんな感じになるのかを、試しに演奏してみることが出来るのと、誰かに頼んで演奏してもらう、あるいは頭の中の想像で頑張る、とでは効率に違いがある為です。
今でも、やはり実際に演奏出来るに越したことはありません。
しかしそれでも、全く楽器が演奏出来ない人でも、誰かに演奏を頼んだり頭の中の想像で頑張ったりせず、実際に演奏させて確認することが出来るようになったのはDTMの偉大な功績だと考えます。
だから、DTMをする方は折角勉強するのに良い環境にいるのだから、それを生かして是非自分の力にしてください。

DTMをするときに欲しい機材:ハード編

DTMに必要な最低環境はパソコン1台あれば良い。
ではDTMをする上で揃えておきたい、あった方がより良い環境とはどんな環境でしょうか。
とりあえず最低環境については既に揃っているものと仮定して、その上でどうすれば良いかを考えてみましょう。
ハードウェア面を考えてみます。

まず、音を鳴らす環境について考えます。
DTMで音を鳴らす時、ただ鳴れば良いという物ではなく、出来ればきちんとモニター出来る環境であるべきです。
その為には出来るだけ周波数特性がフラットに近いモニタースピーカー、およびヘッドフォンが欲しいところです。
これはどちらか片方ではなく、出来れば両方欲しいですね。
何故ならスピーカーから聴いたら良い感じに聴こえるんだけどヘッドフォンで聴くと特定の音域がやたら強く感じる、だとかその逆なんかがよくある為です。
再生環境によって音っていうのは聴こえ方がかなり異なってくるので、違う再生環境を用意しておくことである程度のバランスをとり易くするのです。
スピーカーについては普通のパソコン用スピーカーとかではなく、スタジオモニターと呼ばれる類の物を買った方が良いでしょう。
音の解像度が違ってくるので、より細かい部分までしっかり調整する事が可能になります。
ただし、調整した後でパソコン用スピーカーから再生してみてどのように聴こえるかを確認するのも良いでしょう。
実際には、出来上がった音楽を聴くであろうターゲット層が使う再生環境を揃えてチェックするのが最も良いと言えます。
ヘッドフォンについても、イヤフォンではなく通常の、耳をすっぽり覆うタイプのヘッドフォンの方が良いと思います。
イヤフォンにも非常に高音質で周波数特性がフラットな良い物もあるのですが、長時間使用していると耳が疲れてくるのと、わりと頻繁に付け外しを行うのでイヤフォンでは作業が煩雑になってしまう為です。

パソコン本体の静穏性についてはそこまでこだわりまくる必要はありませんが、ただ工事現場のような音がするうるさいパソコンだと流石に問題があります。
エアコンと同程度の音なら問題になりませんので、通常のファンを付けた程度のパソコンであれば構いません。

パソコンから音を出すインターフェイス部分は、まずオンボードは避けるべきです。
オンボードのサウンド機能は非常にノイズが乗りやすく、せっかく良いモニタースピーカーやヘッドフォンをそろえてもまったく無駄になってしまいます。
昔はパソコン内部の拡張スロットに刺すオーディオカードを買って使用しなければならなかったので、ここで良い環境を揃えるのが初心者には少し難しかったのですが今は違います。
今はUSBでつなげば良いだけの音の良いオーディオ入出力機器が沢山発売されているので、信頼出来るメーカーの製品を買えば大抵問題はありません。
この時、自分が楽器を演奏するか、演奏するとして何を演奏するかによって選ぶべきオーディオ入出力機器が違ってくるのでよく調べておきましょう。
コンデンサーマイクを使用するならファンタム電源付きの物でなければなりませんし、ギターを刺すならハイインピーダンス端子のある物でなければなりません。
また、そこそこ良いオーディオ入出力機器なら何らかのDAWの一番簡易なバージョンがついていると思われます。
Rolandの製品を買ったらおそらくSONARの簡易版がついているでしょう、YAMAHAの製品ならおそらくCubaseの簡易版がついているでしょう。
その他にも、Liveの簡易版がついている物もありますし、Pro tools LEがついている(というかこの場合はPro tools LE用のオーディオ入出力機器として売られていると考えた方が良いのですが)物もあります。
出来ればSONARかCubaseのどちらかの簡易版が付いている物を買ってしばらく使ってみるのが良いかと思います。
DAWを使うのであれば、最終的にはこの2つのどちらかになる可能性が高い為です。
スタジオなんかでは通常Pro tools|HDが使われていますが、スタジオでの作業を頻繁に行うのであればPro tools LEでも良いかもしれません。
但しPro tools系はSONARやCubaseとはプラグインの形式が違う為、Pro toolesとSONARあるいはCubase両方、というのでは金銭的効率がよくありません。
Pro toolsを使用するのであればそれしか使わない、という事になると思います。
(但しPro tools用のプラグインは高いので、お金に余裕があまり無い方は手を出さない方が良いと思います)

自分でキーボードなどを演奏してMIDI入力を行おうと考えているなら、専門のMIDI入力用キーボードを買った方が良いでしょう。
ハードウェアとしてのシンセサイザーも知っておきたいというのであれば構いませんが、そうでないなら専門のMIDI入力用キーボードの方が安く、使い勝手が良い事が多いです。

ミキサーの類は必須ではありません。
しかしどうしても欲しい場合は、オーディオ入出力機器にミキサー機能がついている物を選ぶと良いでしょう。
この時、パソコンに接続していなくてもミキサーとして機能する物、パソコンに入出力する段階でのみミキサーとして機能する物、等色々あります。
外見がミキサーに見えなくてもミキサー機能を持っている物もありますので、調べてから買いましょう。

このように、揃えるのであればそれなりに揃える物はあります。
おそらく上に書いた物を全て揃えるなら2~30万円程度はするでしょう。
しかしながら、実はハードウェア面での投資はDTMでは金額が少ない投資なので、まずは揃えてみても良いかもしれません。
ソフトウェア面を充実させようとするならその程度の金額では済みませんから……

DTMを始める為に最低限何が必要か?

DTMで音楽製作をする場合、最低限どんな機材が必要なのか?
まずハード面から考えてみますと、これはもう簡単で、音を鳴らすことが出来るパソコンがあればそれで良い、ということになります。
もっとも、だからと言って20年前のパソコンでも大丈夫か?と言われると流石に無理としか言いようがないのですが、私の感触では大体Pentium4の3GHz以降くらいのスペックがあればいけるとみています。
あと、メモリはWindows XPで使用しているなら1GByte以上、Vista/7なら2GByte以上あればどうにかなるでしょう。
この辺りのスペックは、既にパソコンを使っている方なら多くの場合はクリアしているんじゃないでしょうか?
(メーカー製PCを使っている方はメモリが足りないかもしれません。その場合は増設することをお勧めします)
で、この最低限のハードウェアを揃えた上でソフトウェアを考えてみます。
今は良い時代で、質の良いDAW/MIDIシーケンサーがフリーで入手出来ます。
DAWでフリーの物としては、Music Studio Producerがあります。
このソフトは結構昔からあるDAWですが、着々と質を上げてきており十分実用に耐えうる品質を持っています。
MIDIシーケンサーとしてはDominoCherryが有名どころでしょうか。
フリーのMIDIシーケンサーは他にも色々出ていますので探してみるのも良いかと思います。
MIDIシーケンサーを使用する場合は同時にVSTホスト等も必要になります。
VSTホストとしてはMiniHostVSTHost等があります。
VSTHostの方は古いバージョンのソースコードがダウンロード出来るので、そこから自作出来る方は挑戦してみるのも良いかもしれません。
また、MIDIシーケンサーの場合はMIDIの入出力の機能しか持っていない為、外部に音源を持たない場合はそのままでは演奏出来ません。
そこで、MIDIループバックデバイス(MIDI Yoke,MIDI-OXなど)を使用してパソコン内部にMIDI信号の線を作ってやります。
これは何をするソフトかと言うと、通常MIDI出力はSound Blasterやオーディオ出力機器に付属しているMIDIポートから出力先を選ぶことしか出来ませんが、このMIDIループバックデバイスソフトを入れてやると、MIDIループバックデバイスが仮想MIDIポートをパソコン内部に作成し、そこがMIDI出力先として選択出来るようになるのです。
このままだと特に良いことは無いのですが、この後MIDIループバックデバイスの仮想MIDI入力ポートからVSTホストに入力してやり、VSTホストに設定したVSTiで音を鳴らします。
残念ながらMIDIシーケンサーではDAWのようにVSTオートメーションを使用して演奏中にパラメータを変更することは出来ないのですが(MIDI信号のやりとりしか出来ない為)、それでも通常十分な性能と言えると思います。

フリーのMIDIシーケンサー/DAWを使用するとして、その上で音を鳴らす為のソフトシンセが必要となります
まずWindowsでは有名なソフトシンセとしてSynth1があります。
これはバーチャルアナログシンセですが、使い方も簡単でその上非常に軽いソフトなので、とりあえず入れておくと間違いは無いと思います。
他にもVSTiは非常に多種多様な物がフリーで出ていますので、KVRというサイトで検索をかけてみると面白い物がみつかるかもしれません。

このように、DTMはやろうと思えば殆ど投資無しで始める事も出来るので、試しに一度やってみるというのはアリだと思います。

DTMと音楽ジャンル

DTMで作れる曲は特にジャンル制限があるわけではありません。
大抵どんな曲であっても、しかるべき音源などが揃っているならDTMで作ることが可能です。
しかしながら、DTMが得意とするジャンル、不得意とするジャンルというのはやはりあります。
というのも、そもそもDTMの打ち込みデータはMIDIデータとなるわけですが、MIDIというのは元々シンセサイザーの演奏の為に作られた規格であった為か、鍵盤楽器と相性が良い反面、それ以外の楽器の演奏情報を表現するのはあまり得意とは言えない為です。
特に弦楽器系はあまり得意としていません。
もっとも、この辺りの事情については最近はギター専用音源やオーケストラ用音源等が充実している為、音源がしっかり揃っているならあまり問題では無くなりつつあります。
ただ、オーケストラや、ジャズといったジャンルは元々生で聴くことが基本のジャンルとなっており、そういったジャンルはやはりDTMと相性が良いとは言い難い面があります。
友人のジャズドラマー曰く、打ち込みで演奏を再現するのは、出来るっちゃ出来るのかもしれんが、時間が掛かりすぎる。
そんなことをする位ならドラマー雇って演奏させたほうが早いし安上がりだ、とのことです。
確かに非常に細かなニュアンスまで再現しようとした場合、打ち込みでは時間が掛かりすぎる面があるのは否めません。
もっとも、上記の意見はプロとしてお金が絡む時の話であって、アマチュアとして活動している場合は時間が掛かろうが打ち込みでやってしまえば自分一人で済むため、こっちの方が経済的とも言えます。
ただいずれにせよ、打ち込む人間が打ち込もうとしている音楽ジャンルについて十分に知っていなければ、どういう風にすれば良いのかが全く判らないということになるのは確かなので、やはり打ち込もうとしているジャンルの曲を沢山聴くことから始めるのが必要ですね。
曲を聴いた上で、それをどうやって再現させれば良いかという段階になって初めてDTMの技術を活かせるようになるのです。

実在する楽器を打ち込む場合

DTMで打ち込み演奏させる場合であっても、実際の楽器についてある程度知っておかなければならない。
これはわりとよく言われている事ですが、これについて少し。
まずよく言われているのが、実際の楽器を知らなかった場合、実際には演奏不可能なフレーズを作ってしまうという事。
MIDIで演奏できる音の範囲、低音はどれ位低音からで、高音はどの位高音まで、というのがMIDIの規格で定められている訳ですが、大抵の楽器はこのMIDIで定められた音の範囲すべてを網羅する程の演奏可能音域を持っていません。
だから、実際にはその楽器で出る筈のない音階の音を指定した場合に違和感につながります。
この辺まではわりとよく言われている事だと思います。
しかし実際にはこれだけでは配慮は足りません。
実際の楽器を演奏する際に、一般にはどのように演奏されるのか?についても十分に知っておく必要があります。
例えばギターでアルペジオを演奏している状態を打ち込む場合、今鳴らした音がどこまで続くのか、等についてはギター演奏についてある程度知っていなければわからない事です。
また、ドラムフィル等についても実際にドラマーが演奏しているのを聴くと実に多彩なフィルが使われているのがわかります。
こういった部分についてはDAWが補助してくれる事はほぼ無いので、あらかじめ打ち込み始める前にある程度勉強しておかなければなりません。
出来れば実際に自分がその楽器を演奏するのが最良なのですが、実際には技術習得にかかる時間などを考えると現実的ではないので、出来るだけ沢山色々な音楽を細かいところまで注意して聴き、そして耳コピーする事がこういった知識習得の近道となります。
実際に自分が音楽を作る際の引き出しを沢山設ける為にも、沢山の音楽を聴いておくのは重要なことですし、普段聴いている音楽でもボーっとしながら聴くのと注意しながら聴くのとでは結構違ってきます。
そして聴いた音楽を実際に打ち込む事で確認、復習となり、自分の技術となっていきます。

DTMでも楽譜読めなきゃ駄目?

DTMをする場合、楽譜は読めた方が良いのか?
これについては、自作曲を作る場合なら全く読めなくても大して問題にはならなかったりします。
一般的なDAWやMIDIシーケンサーソフトでデータ入力を行う場合、通常はピアノロールかST/GT型なら数値入力で打ち込むのが基本になってきますので楽譜というのはそもそも見る機会自体あまり無かったりもします。
(無論、楽譜表示機能を持っているDAWなら楽譜表示を行えば、入力したデータを楽譜で確認することも出来ますが、わざわざやる意味はあまり無いでしょう)
しかし、既存の曲の楽譜データをダウンロードなり、書籍を購入なりして打ち込む場合は勿論、その楽譜が読めなければ話になりませんのでこういった場合は楽譜が読めることが必須になります。
ただ、この場合であっても実際には打ち込む際にはピアノロールなり数値入力なりで打ち込む場合が殆どですので(そもそも楽譜入力がやりやすいDAW自体があまり無いのですが)、結局入力段階には楽譜は関係なくなる為、例えば楽譜が読める別の人にドとかレとか言ってもらいながらそれを打ち込んでいくという方式なら、打ち込む本人は楽譜が読める必要はやっぱり無かったりする訳です。
楽譜というのは、MIDI等の演奏情報を記録したデータ形式がまだ存在しない時代に音楽の演奏情報を何とか記録しておこうとして発達した記法ですので、様々な楽器の演奏情報を目で見える形で表現するという意味で優れた表記法なのですが、今現在コンピューターでの音楽が発達した状態においては必須では無くなっているわけです。
しかしながら、先ほど書いたように一般に販売されているような楽譜集を購入し、それを打ち込もうとした場合には読めた方が良いのは間違い無いので、余裕があるなら楽譜の勉強も行っておくべきでしょう。
まぁ、とはいえ実際には楽譜の表記もそこまで複雑な記号が使われている場合はほぼ無いので(例えば、楽譜にはダブルシャープだとかダブルフラットだとかの、全音分音を上げ下げする表記記号も制定されていますが、あまり使われていません)、1時間も勉強すれば大体読むのに困らない程度の知識は身につくと思われます。
とりあえずDC、DS、CODA等を間違わずに楽譜を追えれば大抵はほぼ問題ないでしょう。
シャープだとかフラットだとかの本当に基本的な部分は、小学校か中学校の音楽の時間で勉強する筈ですし。

今時のDTMでもMIDIは大切ですよ

DTMが最終的にオーディオを取り扱うようになってきた為に、MIDIの知識はもうあまり必要ないという認識を持っている人がちらほらいるようです。
しかし、実際始めてみるとわかるのですが、やはりどこまでいってもDTMで音楽を作る場合は基本はMIDIベースなのです。
無論、曲データは全て人間の演奏で行い、それらをDTMシステムで編集するだけというのであれば、演奏時に必要ないなら結局MIDIの知識も必要無い事にはなります。
しかし、実際にはそういった事はあまり無く、大抵の場合打ち込みで何らかの楽器の音を作り出す事が多いので、その時点でMIDIの知識が必要になります。
今は、昔と違って外部のMIDI音源にMIDIケーブルを接続して、といったような事は無くなりました。
大抵の場合はPC内部のソフトシンセだけで完結してしまいます。
しかし、そのソフトシンセに渡す演奏データはやはりMIDIデータなので、古くからのMIDIの知識は相変わらず有効なのです。
(まぁ、GM配列の何番の音が何、とかそういった知識はもうあまり役には立ちませんが)
特にコントロールチェンジメッセージは重要で、これをきちんと理解していなければ演奏データの編集もままならず、最終的に出来上がったオーディオデータもどこか機械的な雰囲気を残したままのクオリティの低い物となってしまいます。
ソフトシンセの種類によってはコントロールチェンジに独自の機能を割り当てている場合もあり、そういった物は編集時にDAWの補助も受けられない場合があるので自分できちんとメッセージを入力出来るようになっておくべきです。
こういった、演奏時の表情付けといった物は出来上がりのオーディオデータを弄ったところでどうにもならない物なので、演奏させるデータを生成する段階からきちんと理解しながら進みましょう。

ちなみにMIDIデータの正確な定義は音楽電子事業協会(AMEI)の発行する「MIDI 1.0規格書」を読むことになりますが、そこまで正確な定義は実際にはあまり必要ではないのでとりあえず検索ワード「MIDIフォーマット」等で検索してみて適当に確認するのが良いかと思います。

失われた空気感

ノイズ対策はオーディオ編集時に必須の作業でしたが、音楽がPCの中で完結するようになってから状況が少し変わってきています。
従来は、作曲はPCで行いそれをMIDIケーブルで接続した外部音源で鳴らし、その音をまたPCに戻して編集するというのがDTMのスタイルでした。
しかし最近は全ての音をソフトシンセで賄う事が出来るようになってきている為、外部の音源から音を戻すという作業が必要ない場合が発生しています。
こうなると、ノイズ源がどこにも存在しない為ノイズリダクションという作業が全く不要になります。
しかし(これはPCでオーディオ編集が行われ始めた頃からずっと言われていた事でもあるのですが)、PC内部で全てを完結させると音が非常にデジタル臭くなり、空気感が無いと言われます。
そういった空気感の喪失を避ける為に、わざわざアナログで一旦アウトした後アナログで録音してみたり、マイクで無音(実際には無音ではなく、微妙なノイズが混じっている位)を録音し、それをミックスしてみたりといった事が行われていたりもします。
これは恐らく、普段暮らしている世界の音がデジタル編集した音楽からは聴こえてこない為の違和感ではないか、と私は思ったりもしています。
(この部分は私の憶測であり、一般に発表された理論だとかそういった物ではありません)
つまり、普段そこら中にあり、しかし常に鳴っている為に無意識の内にフィルターして音としては認識しないような微妙なノイズがデジタル編集した音楽からは聴こえてこない為、「あれ?普段の音が聴こえない、おかしいな?」となり違和感となり、それがデジタル臭さとして感じられるのではないでしょうか。
アナログ時代からデジタル時代に変わり、ノイズ除去に悩まされなくなった代わりに、そのノイズが全く無い為にかえって違和感を与えてしまうとはなんとも皮肉な話です。